またまた荒井良二さんの絵本を借りてみた。
荒井さん、この本では、イラストのみ。
文章は、江國香緒さん。
モンテロッソって、響きがいいね。
実際に、イタリアにはモンテロッソ・アル・マーレという海辺の町があるみたい。
あるところに、ハスカップという、いつも寝てばっかりの猫がいた。
怠惰に、ただ寝ているのではないんだって。
いつも、おなじ夢を見ているんだって。
ピンク色のそれはそれはきれいな、壁の夢。
この壁に、訳はかわからないけど、どうしても行かなくてはと思うんだって。
だから、夢の中で通りすがりのおじさんに、町の名前を聞いたんだって。
おじさんは答えたとさ。
「モンテロッソ」
ハスカップはモンテロッソに行くために、飼い主のおばさんに別れを告げる。
港に行ったけれど、モンテロッソ行きの船というものは、ない。
だけど偶然、モンテロッソへ行くという夫婦の話を聞きつけ、一緒に気球に乗る。
腹ごしらえにネズミを調達。
食べるものはおねだりせずに、自分で調達、これプライド。
料理中の奥さんにオーブンを借りてネズミを焼いておいしくごはん。
美容院を通りかかった。
飼い主と一緒に訪れた美容院、その匂い、その感覚が懐かしくなったりもした。
自分の今の身なりに、悲しくもなった。
でも。
目的地のモンテロッソへの旅は続くんだ。
旅の途中は、社会の秩序に反しようとも、自分が正しいと思うことをやり遂げたりもした。
そうして、遂に、夢に見た、ピンク色の壁に到着したのだった。
白ワインで蒸した鮭みたいな色だと、ハスカップは思った。
何日も何日も、うっとりして、ピンク色の夢の中にいるのか、ピンク色の現実の中にいるのかわからないで、自分の居場所を見つけたと満足しているうちに、ハスカップは壁のしみになっていったのだそうな。
猫って、自分で死に場所を選ぶっていうよね。
ハスカップも、死に場所に向かって、自分の欲望と正義感でやりたいことをやり尽くし、時にノスタルジックにもなりつつ、満足して、人生を全うしたんじゃないのかな。
以上、私の解釈。
私の中のモンテロッソ、ピンクの壁ってなんだろう。
母となった今は、Goedがすてきなパートナーを見つけ、子供を授かったのなら良き父親となることがモンテロッソ。
ピンクの壁は、結局は、パートナーであるSatocchiなのかな。
看取るよりは、看取ってほしいから。
でも、看取ってもらうということは、看取り遺されるあの気持ちを強いることになるのか…。
ハハハ、そんな順番、考えては行けないし、考えてもどうにもならず。
では、良きゴールをめざして精進しつつ、天に運命を任せますか。
この本の中、ちょいと、日本の地名が出てくるのも、親近感を沸かせる小技。
この本の中、ちょいと、楽しげな四字熟語がピリッと文章を引き締め、楽しく読み進める小技。
晴眠雨明(せいみんうみん) 千載一遇(せんざいいちぐう) 吃驚仰天(びっくりぎょうてん)
この本の中、荒井良二さんのイラストが、大技。
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