しみたくないよぉーっ!!

「Goed、しむの？」
死ぬのかって聞かれた。
実のところ、ここ毎日聞かれてる。

「ごはんいっぱいたべたら、しままい？」
「おやくそくまもったら、しままい？」
死なないための対策も、自分で考えている。

「しみたくないよぉ」
泣きだす始末…。

この一連の作業が、この1週間、毎日のルーティンになってる。
今回の論争には、キッカケがふたつあるのです、実は。

ひとつは、Goedのお友達のおじいちゃんが亡くなった時の話を、Satocchiにしたこと。
その時Goedは話に参加しているようには見えなかったけど、ジッと聞いてたんだね。
その話が終わってから、突然聞いてきたんだよね。
「akkoさんとGoedは、しままい？」
死ぬよって答えたら、
「しみたくないよぉーっ!!」
って泣き出した…。

それともうひとつ。
『仮面ライダーゴースト』が始まったことも大きく関係するみたいね。
私は観てないんだけど、どうやら一話で、主人公の天空時タケルが、「死にたくない」という強い気持ちから仮面ライダーになるみたいなプロセスを踏むらしいんだよね。
そのふたつの話がうまく絡み合って、Goedに"死"を考えさせることになったってわけだ。

「かみさまにおねがいする」
そう言っては、手を組んで、お祈りを始める。
バラエティ番組でドラムロールがかかった時のお願いポーズね。

電車に乗ってる時にしなないように
バスに乗ってる時にしなないように
飛行機に乗ってる時にしなないように
絵本を読んでいる時にしなないように
TV観たりWiiしている時にしなないように
幼稚園に行けますように
パパとakkoさんと遊んでいる時にしなないように
パパとakkoさんが、大好き(ここで言う?!)

「神様ってだぁれ？」
「サンタさん」

次の日もブツブツお祈りしてたから、もう一度聞いてみた、神様ってだぁれって。
そしたら答えが違ってた。
「サンタさんとたなばたさま」

「なんで死にたくないの？」
「ウルトラマンとねれなくなっちゃうから。しむの、すきじゃない、こわいんだもん。しんだらもう、でてこれなくなる。ここにいたいから。」


「どうしたらしままい？」
って、死なない方法を聞かれる。
「好き嫌いしないでご飯をいっぱい食べたり、たっくさん元気に遊んで、車に気を付けて道路を渡ったりすれば、そう簡単には死なないよ」
「おやくそくまもったら、しままい？」
「それでも死ぬよ、生き物はみんないつかは死ぬからね、でも、お約束守ったら、死ぬのがうーんと遅くなるの!!」
「おそくなって、しままい？」

死なないって答えれば、話は丸く収まりそうなんだけど、私には、できないよ。
生き物はひらたく、みんな死ぬでしょ。
時々死にたくないという人々がこの世には現れて、不老不死の薬を求めたりしてたけどさ。

息子に、私の死生観を試されているような気になってくるよ、ほんと。
押し問答になるから、なんとかうまく着地してGoedを納得させたいんだけど、なかなか手強い。

でもお陰で食が進む効果も、ある。
元々Goedにとってほうれん草は、「元気の出る野菜」という認識を持っていて大好きなんだけど、更に元気イメージが倍増。

炒飯に入れたほうれん草を食べながらGoedが聞く。
「ほうれんそうたべると、しままい？」
「死ぬよ、死ぬけど、なかなか死ななくなるよ、元気になっちゃうから死ぬのが遅くなるの。」
「そっか、akkoさんのもたべてもいい?!　あしたもほうれんそう、かってきてね。」




昨日の朝ごはんの時にも始まった、「Goed、ぜんぶたべたらしまない？」。
ピザトーストの上には、ベランダで育ててるルッコラを載せた。
この時の私の回答、なかなかのものだと思うんだけど、どう、これ？

「ホラ、このルッコラちゃん、さっきまでベランダの土の上で生きていたでしょ。お日様とお水のパワーをもらって元気にしてたね。でも、さっきお母さんが引っこ抜いたの見たでしょ。仲間達から、Goedくんのお腹の中に入って、Goedくんにパワーをあげてきてね～ってお見送りされてたの、お母さん聞こえたんだ。Goedはそんなルッコラちゃんを食べたから、Goedは今、ぐんぐん元気になってきてるよ。死ぬのが遅くなったよ。なかなか死なないよ～。だから、食べる時は、ちゃんといただきますっていうわけ。パワーを頂きますってこと。ありがとうって気持ち。」

夕方の電車の中で、突然朝のことを思い出したらしい。
「opaとomaにも、ルッコラちゃんあげるっ、しままいようにって!!」

いつまで続くかな、Goedの死への恐怖。
早く、「元気に生きる」ために何をすべきかを考えるようになってほしいものだ。
少年よ、切り替えてこーぜっ!!