2014年4月20日日曜日

『じゃがいもかあさん』アニタ・ローベル作

ちいさな木ぼりのおひゃくしょうさん』で、その絵にすっかり魅了された私。
その絵を描いたのは、"アニタ・ローベル"。

アニタの本をもっと読んでみたいと、図書館に予約を入れたのが、この本。

『じゃがいもかあさん』



アニタは、ポーランドのクラクフ生まれ。
5歳の時に第二次世界大戦が始まり、ユダヤ人だったアニタの家族は、ナチスからの逃亡生活を虐げられる。

アニタと弟は両親と離れ、ユダヤ人ではない"ばあや"が、アニタと弟をかくまった。
ばあやがふたりを自分の子として育て、密告者から守っていたのだ。
しかし遂に、10歳の時にドイツ軍に見つかり、弟と共に強制収容所に連行されてしまう。

1945年5月、ドイツ北部のラーフェンスブリュックの収容所から助け出された時、アニタも弟も結核にかかっていた。
スウェーデンの療養所に隔離され長い月日、療養生活を送る。

別々に生き延びた父と母と、ストックホルムで暮らし始める。
17歳で家族でアメリカに移住。
絵本作家アーノルド・ローベルと結婚。
現在もニューヨークで暮らしている。


そんなアニタが紡ぎだした絵本が、『じゃがいもかあさん』。
幼い読者に宛てて、戦争は何も良いことを生まず、お母さんが悲しむばかりのむなしいものだと訴えた絵本だ。


東の国と西の国は争いをしていた。
その間の谷間に仲の良い家族が住んでいた。





昼はじゃがいも畑を耕し、そのじゃがいもを毎日食べて、家族は幸せだった。




夜は、お母さんがやさしくおやすみと言ってくれる。
こんな日がずっと続くと思っていた。



しかし息子達は成長すると、兵隊に憧れるようになり、家を飛び出してしまう。
ひとりの息子は東の国へ、もうひとりの息子は西の国。

それぞれは手柄を立てて、高い地位へとついていた。




争いは長引き、それぞれの国は食べるものに困っていた。
高い地位についていた二人の息子達は、あの畑、あのじゃがいもが欲しかった。


おかあさんの家に、東から西から軍隊が押し寄せ、じゃがいもを巡って争いが起きた。





争いに巻き込まれて家は壊れ、おかあさんは倒れた。







後悔と悲しみで、二人の息子達は泣き崩れ、その二人を見たそれぞれ国の兵隊達も、母親のことを思い、泣き始めた。


実はおかあさん、死んでなんかいなかった。
彼らをしばらく泣かせておいたのだった。




争っちゃいけないよ。
お母さんを悲しませてはいけないよ。
争うことをやめて、みんなお母さんのもとへ帰りなさい。









争いは終わり、息子達はお嫁さんを迎え、家族が増え、みんなが幸せをかみしめた。








繊細な美しい絵、東欧文化の匂いのする絵。
やっぱりアニタの絵は、引き込まれる。

そして今回は、ホロコーストを体験したアニタだからなのか、ホロコーストに関する本の写真のインパクトを持っている私だからなのか、圧倒的な人物の多さを表した絵が、戦争の悲劇の多さを表しているように感じてならない。


私は、戦争のない時代に生まれ、もしかしたら戦争に巻き込まれずに人生を全うできるという、人類史上においては稀に見る幸せな時代を、私は過ごせるのかもしれない。

どうかどうか私達が、間違った方向に進むことのないよう、ちっぽけな私だけど、思いやりを勇気を、忘れないようにしなくては。

母親ってじゃがいもなのかもね。
地上に茎と葉を伸ばし養分を蓄え、地下にたくさんの元気な子孫を残す、じゃがいも。
母親の勇気や優しさや知識は、子供への養分になるんだね、きっと。









それからね…。

アニタの描くお母さんは、頭にスカーフ、ベスト、広がったスカートにエプロン、そしてブーツだ。
以前ハンガリーの村を訪れた時に会った、おばあさんのスタイルにそっくり。

絵の中の衣装、家具、雑貨が、東欧っぽさがあってかわいいのよねぇ。







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