2014年7月3日木曜日

岩手を旅して大きくなる③-遠野から釜石、そして大槌町へ-

短い時間ながら、遠野を満喫した我等三人。
釜石線で釜石へ向かう。

Goedさん、うしろ、うしろ、電車が入って来てますよ~。

2両編成のんびり電車の旅。
釜石までは約一時間。


雨。
単線。
緑緑緑。
トンネルまたトンネル。
のどかな風景にのどかな車内。

GoedもSatocchiも、しばしうたた寝zzz…
釜石に到着。
エスペラント語の駅名は、"ラ・オツェアーノ(大洋)"。

山から海に出たわけだ。
ここから、東日本大震災の被災地を目の当たりにすることになる。



改札を出ると、ホテルの運転手さんが待ち構えてくれていた。
ホテルまでの30分。
貴重な、尊い30分。


釜石の町から大槌町へ北上するに従って、三年を経てもなお残る津波の惨状、進む復興作業、そして進まない復興作業、未来への災害対策が見てとれた。

始めは天候のことなど他愛もない会話をしていた運転手さんと私達。
しばらくすると、会話がなくなり、Satocchiも私も、打ちつける雨の向こうの景色を見逃すまいと、前後左右に首を動かす。

ここに住む人達は、思い出したくないような自身の被災体験、当時から消えることのない悲しみ、人に語りたくないような想い、今だから故の苦しみを、胸に抱いて生きている人達が、多いだろう。
安易に、当時のことや現状のこと、聞けるわけがない。

でも運転手さんは、ポツリポツリと話をしてくれた。
「道路に傷痕が見えますでしょ。これは、家が動いた痕なんですよ」
「津波は水のイメージがありますが、私の見た津波は大きなブルドーザーのようでした。津波の先端は家でした」
「この上を通ってる道路は三陸縦貫道路の釜石山田道路なんです。震災のあった丁度1週間前に開通したんです。もしこの道路が開通してなかったら、国道はもっと車があって被害も大きくなってたんじゃないかと。」
「震災が起きたのが昼間ではなく、夜中だったらと思うと…。」
「大震災の二日前にも大きな地震があって、お客様を避難所に避難させたんです、でも結局津波はなくて。今回もないかもという疑心が人々にあったかも。それに地震の直後の津波予報が6mと発表されてすぐに停電になり、実際に襲った津波は20mでした。」
「地震の後高台に避難しても、まだ大丈夫だと思って家に物を取りに行ってしまった人達も多かったようです。」
「JR山田線の復旧の見込みは、まだまだありません。町がなくなり、どこに町の中心部を置くかで駅の位置も変わってきますから。」

岩手の訛りをほのかに感じながら、運転手さんのお話を聞き逃すまいと身を乗り出して耳を傾けた。
伝えてくれて、ありがとうございました。
呑気に旅なんかしている私達に、口を開いてくださって、ありがとうございました。
でも、見たかった、聞きたかった、知りたかった、当時のこと今のこと、微力ながら、みなさんの復興に旅というちっちゃな経済で、応援したかった、それは本当です。

今日お世話になるホテルは、"波板観光ホテル"という名前を"三陸花ホテルはまぎく"と変えて、2013年8月30日に復活再開。
立松和夫総支配人の想いを見つけた。

「大槌という街は千数百人の方が亡くなったり行方不明になりました。同時に住むところが全部壊された方々が多いんですね。仮設住宅に住む方も多くいらっしゃる。街自体から希望を見る光が失われてような状況だったんですね。そんな時にもしもこのホテルが再開出来るんだったら、ここを一つの集いの場として街が復興していくんであればいいことだという強い思いがあり、"波板観光ホテル"から"三陸花ホテルはまぎく"と名前を変えて、再スタートしたわけです」

「先日、第1組目の結婚式がありました。それまでは手を合わせる行事だけだったんですね。拍手、万歳、握手、乾杯の行事が本当になかった。これからはこういう笑顔が生まれてこなきゃだめだよと、ようやくお祝い事も許されるなという機運が生まれてきました。町が少しづつ蘇ってきています。ありがたいことです。」


「人間って花を見ると非常に嬉しい気持ちになる、綺麗な物を見て怒る人はいない、花をテーマにしたホテルを作った方がいいのではと。地域に希望の灯りをともすのではと"三陸花ホテル"にしようと決めました。」




確かに館内は、圧倒される程の生花のデコレーション。
暗い気持ちがパッと明るくなる、嫌なことを忘れて優雅な気分になる。
お手入れもあるだろうし、料金的にも覚悟のいることなのではと察する。
それでもこうありたいという心意気が、心地いい。
エントランスの花と緑のシャンデリアや壁面緑化や庭園テラスは"石原和幸デザイン研究所"が施工したようだ。
石原和幸デザイン研究所ってば、去年行ったウェスティンホテルの庭園を、設計した会社だよね!!


こんなにもこんなにも、ホテルとしての威厳を持ち、お客様を温かく迎えようと、再び立ち上がろうとしている。
旅人して、宿泊者として、この心意気にきちんと乗り、おもてなしを受けさせて頂こう。
それが、復興しようとするホテルへの敬意だと、思った。



ホテルに到着。
まもなく夜ご飯。
今日もこうしてビールが飲める。
本当に本当に、有り難い。

三陸の海の幸を食べるため、日々、生魚を少しずつ食べて免疫を付けるという、なんとも贅沢な訓練をしてきたGoedは、貝以外はなんでもござれ!!

って、写真はカニコロッケ?!






イガ付のウニなんて、生まれてまだ2回目。
回転寿司のウニで有頂天になれる私には、充分過ぎる幸せ。
しかもそれを知ってるSatocchiが、お皿を差し出してくれて、私の御膳は、ウニが渋滞☻

あら汁とごはんはおかわり自由。
全てが美味しくて。
白飯さえも美味しくて、我が家の炊飯ジャーの買い替えを話し合ってしまったほど。


お部屋に戻り、Satocchiと私は、ベッドにゴローン。
Goedは叫んでおります、「おーふーろっ、おーふーろっ!!」。
私にはもはや、そんな叫び声も聞こえない…、明日の朝風呂にさせて下さいな。

余力が上回ったSatocchiが、Goedを部屋のお風呂に入れてくれて、歯磨きもして、一緒に寝てくれた、そうです。

波の音を枕に、みんなで旅の一日目を、閉じました。














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